檜山は郷土食の宝庫

1カ月ほど前の話題ですが、原稿にする機会がなかったので。
3月16日、「ひやまの郷土食 試食会」が横山家(江差町姥神)を会場に開催されました。

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町や地域について調べたり、文章で紹介するときに、
「郷土食」ってのは、けっこう大切なテーマ(視点)になる。
以前、奥尻島でみっちり取材したときも、やはり興味深く食材や料理の話を聞いた。
暮らしの流れ、季節の感覚、そして昔の風景。
郷土食からは、その町独特の「肌触り」を実感できるのだ。

そんな思いもあって、奥尻島元祖「三平汁」研究会の新たな取り組みなどをこれまで取材してきた。
このつながりもあって、奥尻町役場の満島章さん(酒豪)に誘われて、
「ひやまの郷土食 試食会」に参加したというわけ。
檜山支庁では、郷土食をテーマにした新たな産業づくりの構想が進められていて、
試食会はその一環としての催事。

まずは、村元直人さん(函館短期大学名誉教授)の講演。
村元さんの『北海道の食』(幻洋社)という書籍は、
郷土食に関連した原稿を書く際に、よく参考や引用させてもらっている。

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◆蔵の中を会場にしていた。

「おそらくジャガイモの栽培は、檜山が日本でもっとも古いだろう」
「東北にも広がる『しみいも(ジャガイモを粉にして団子などにする)文化圏』は、檜山から広がった食文化だ」
「しみいものこうれん(餅を干したもの)は、元祖ポテトチップス」

郷土料理を大切にし、誇りにすること。
そして、本物志向(地元食材や旬へのこだわり)を忘れずに、
新しい感覚で郷土料理を発想していくこと。
村元さんの提言は、もっともであり、すごく重要。

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◆試食の皿が次々とならぶ。

三平汁(糠ニシン)、くじら汁(正月定番)、ふきんこもち汁(ジャガイモでんぷん餅)、
豆漬け(酸味ある枝豆)、煮しめ、飯ずし(サケとカナガシラ)、
ホッケの焼きカマボコ、こうれん(餅米)、べこもち(米粉)。
そして、どんぶりいっぱいのご飯。

ぜんぶ食べたら、さすがに食べすぎの感があった。
ふきんこもち汁は初めて食べた。どれも素朴で良い。
料理した人が、食材や作り方の説明をしてくれた。
やっぱり、「物語」って必要なんだと思う。

ファストフードでさえ、「○○にこだわりました」って宣伝するのだから。

  この料理は、どんな時に、どんな理由で、どんな味付けで、
        長く食べられてきたものなんです。
        子どものころから食べてきた味です。

そんな話を地元の人に語ってもらいながら食べる。
その場所へ行って、その土地の人と語らい、五感で味わう。
それが(観光における)郷土料理の楽しみ方(楽しませ方)だと思う。

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◆三平汁。昔は飯のおかずというより、飯の量を減らすための料理だった。


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◆横山家住宅(北海道指定文化財)。230年以上続いている旧家。
 総檜づくりの主屋は明治16(1883)年、
 4棟ある土蔵の三番倉は文政5(1822)年以前に建築されたもの。
 街道に面した正面入り口(この写真)から、
 かつては海岸に沿っていたハネダシと言われ倉庫までが
 一体となる建築様式。江差の典型的な回船問屋の店舗スタイル。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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