道南の夏(04) 別れのテープ

8月31日。お祭から一夜明けて、港に別れのテープが舞う。
テープの送迎は、去りがたさと別れのときをあまりに明確に表現するから、
目にするたびになんだか涙がこみあげる。

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◆テープを用意する石岡さん夫婦(島漁師・民宿いしおか)。
ぜんぜん関係ないが、この2日前にスイカをごちそうになった。石岡さんはイカ釣り漁師なのだが、今年の檜山沖日本海の真イカ漁は不調。いつも明るい石岡さんが、「このまんまじゃ、おれたち死んじゃうよ」とつぶやいた。切実である。日本海のイカよ、奥尻へ戻ってこい。


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◆テープを受け取り見送られていたのは、昨日のお祭でゲストとして歌っていた芸能人の皆さま。

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◆僕がテープで見送られたのは、小学校の修学旅行で乗船した青函連絡船のときくらいか。連絡船はその翌年に終航。

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◆離岸すると猛烈なスピード(という印象)で港を出て行くフェリー。この潔さも魅力。

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◆さよなら。また来ます。

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コメント(1)

テープ送迎の写真の中に自分を発見。
島の住人ではありませんが陸にてテープを持っています。

もう十年以上はこの光景を目にしていなかった私ですが何とも言えない切なさを感じました。
自身の手元からスルスルとテープが解かれて行く途中も力加減次第でプツっと切れてしまわないように細心の注意を払っておりました。


紙のテープとは云え、【繋がれている】って感覚がホントは私、好きなのかも?と、思いました。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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