前夜は2時過ぎまで原稿の修正。ようやく書き終えて、あとはもうお任せに。海外旅行用のトランクを引っ張り出してきて、入院に必要なモノをどんどん放り込んでいく。1年ぶり8回目の入院ということで、必要なものはだいたいわかっている。ゴミ箱もマグカップも初回入院時からのお付き合いだ。冷凍庫のチョコモナカを寝る前に食べようかと迷ったが、わずかに残った病気への良心の呵責が「食べない」という選択をしてくれた。
6時起床のつもりが7時起床。しばし、ピーさん(セキセイインコ)と遊んでから、朝食を食べる。
◆ピーさん。口癖は「ビール!」。
◆ごはん100g、味噌汁2杯、納豆、梅干し。4単位400kcal。
昨晩遅くから降り出した雪は数センチの積雪に。9時10分に家を出て20分には病院到着。入院受付は10時からということで、とりあえず院内のドトールでブレンドコーヒーをすする。10時ちょっと前に案内されて病棟へ。毎回お世話になっている病棟だ。そして、前回と同じ部屋に案内された。ベッドの配置が変わっていたので、28日間にわたって快適に暮らすために、ベッドと床頭台のレイアウトをしばし検討する。延長コードを配線して、床頭台まわりは仕事机と化す。これもいつものことだ。この病棟の常連ということで、看護師さんからの施設に関する説明は省略してもらう。
さっそく病衣(パジャマ)に着替える。はじめて入院したときは、パジャマ姿になることへの抵抗感が大きくて、短パン・ポロシャツで過ごしていたものだ。おかげさまで入院常連患者になった今は、あっさりと病衣に袖を通せるようになった。それは敗北なのか勝利なのかはわからないが。
11時、ターゲスが始まる。この検査は過去の入院日誌にも何度も登場するが、1日の7回の採血をおこなうことで血糖値の変化を詳細に把握するもの。入院中は何度かターゲスをおこなって、食事療法の効き具合を確かめる。ほかに蓄尿などの検査も定番だが、今回それは土日を挟んで来週になるようだ。
主治医の回診。「来ないじゃないかと心配していました」と言われる。たしかに、ここ数か月は急激に数値が悪化して、治療を諦めたかのような雰囲気もあったかもしれない。とは言え、今回も自分から頼んでの入院である。回診に付き添う病棟の看護師長さんも同じ人。また来たのって顔をされる(されたような気がしただけだと思うが)。入院時の行動パターンを知ってもらえているので、いろいろ助かる部分も多い。飲食店の常連が「いつもの」とオーダーする感じにも近い。ただそれは、せっかく入院しても入院しても、1年ほどで元の木阿弥化している証左でもある。切迫する日本の医療資源を食いつぶしている1人としての自覚はあるのだが。
12時20分、昼食。
◆鶏素麺(汁はあとでかける)、もやしおひたし、牛乳180ml。牛乳は残した(在庫として確保した)ので、4.5単位440kcalくらいか。
これまで300食近くの病院給食を食べてきたが、麺類が出るのは珍しい。麺がのびないように汁が別になっている配慮も嬉しい。ただし、温度はぬるま湯だ。これはしかたがないだろう。ふだんは地獄のように煮えたぎる汁をすすることに幸せを感じているので、物足りなさもあるが不満はない。
食後、病室が猛烈に暑いのもあって眠気が襲う。しかし、ここで眠ってしまうと、夜が長くなってしまう。眠気覚ましも兼ねて、病院内にあるローソンに出かける。これも、以前は外出着に着替えてから行ったものだが、今回は病衣のままで買い物へ行く。手配し忘れていたウェットティッシュ、ウーロン茶、ストレス解消のコーラゼロを購入。
14時、2回目の採血(ターゲス)。
入院中は治療以外することがない。その治療も、ベッドに縛り付けられているようなものではない。規則正しく生活することが治療の基本だ。あとはその成果を測るために血を抜いたり尿を溜めたりして検査していく。だから、時間がたっぷりある。たっぷりあるので、仕方がないから仕事をすることにしている。世の働き盛りは「入院などしてしまっては仕事が滞る」と心配するのが通常だろうが、私の場合はふだんの数倍の効率で仕事が進むのがありがたい。
17時、3回目の採血。看護師が交代して男性に。ナースキャップをかぶった看護学生を引き連れている。ちょっと慌ただしい感じで、採血後の処置が丁寧でなく、血がだぶだぶと漏れあふれる。
空腹絶頂。17時45分、夕食配膳。
◆ごはん195g、豚生姜焼き(脂はすっきり落とされている)、ツナサラダ、煮豆。8.5単位680kcalと見た。
入院中はなぜかよりストイックな食事をしたがる傾向にあり、ちょくちょくご飯を半分残したりするのだが、今日は空腹に抗しがたく完食。ただ、米の炊き加減が堅くて、胃もたれする感じ。30分ほど横になる。いつのまにか寝落ちしていて、寝汗をかいてしまった。病室が暑いのだ。
19時半、4回目の採血。ずっと同じ場所(左腕のひじ内側)に針を刺されているので、痛みが出てきた。一発で決めるには良い場所なのだが。嫌な予感がする。
21時、5回目の採血。案の定、同じ場所から採血。かなりの痛み。採血しにくい体質(体型?)なのは申し訳ないと思いつつも、すこし工夫してくれよ、とは思う。そして消灯。就寝。
のはずだったのだが、横臥の姿勢になると首と肩に猛烈な痛みが出るので、10分と横になっていられない。いろいろ姿勢(首の位置)を試すのだが、痛みが緩和したと思っても数分後にはじわじわと鈍痛が広がり、ほどなく我慢できない痛みになる。廊下に出てストレッチなどもしてみるが改善せず。痛みと眠気が綱引きをして、眠気が勝った瞬間に眠りに落ちるが、継続した睡眠は2時間が限界だった。
たしか、2週間ほど前に、いつもの寝違えかな、という首の症状が発現する。朝起きると左腕全体が痺れているが、少したつと痺れは解消する。首と左肩に絶えず鈍痛。コリをほぐそうと首を回すと、激痛を感じる箇所あり。日ごとに痛みはハッキリしてきて、首の付け根が猛烈に張って痛むようになった。枕は使えなくなり、自宅ではタオルを重ねて少しだけ高さをつけていた。毎晩、首と肩まわりにカウンターペインをたっぷり塗布してもらって、強烈なインドメタシン効果で痛みを紛らわせながら就寝していたのだが。
これはどうにかしなくちゃなるまい。
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