2017年12月5日(火)糖尿病・腎臓病での入院 5日目

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 今回の入院では、インスリン注射という新たな治療が加わったので、病気のおさらいをするために、日本糖尿病学会編『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』を読み直す。患者向けには『糖尿病 治療の手引き』という書籍があるのだが、解説がさらっとしていて読み応えがない。お値段は『手引き』の6倍するが、知識を得て納得しながら糖尿病を治療したい人は『ガイドライン』の購入をすすめる。

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専用の針を刺す(鼻毛を抜くよりは痛くない)

 さて、ブログを読んだ幾人かから驚きとともに質問があったのだが、インスリン注射について説明しておく。
 毎日お昼から外出しているので、入院初日の回診から主治医とお話をするタイミングを逃している。その間に、血液検査の結果が出て、食前と就寝前のインスリン注射が始まったわけだが、現時点では治療方針の説明は受けていない(自分としても、まだ実施中の検査もあるので、それらの結果が出そろってからの説明・相談でも良いと考えている)。
 ただ、前掲書や看護師さんのつぶやき、その他の情報などをつきあわせると、俺はいま「インスリン強化療法」をおこなっているらしいことはわかった。これはごくごく簡単に説明すると、本来は膵臓で分泌するインスリンを、注射によって体外から補給して、その分だけ膵臓(の働き過ぎ)を休ませるというもののようだ。
 インスリンがなぜ必要かは、糖尿病の説明から始める必要があるのだが、そこは読者諸賢のグーグル検索能力にお任せするとして、ひとことで解説するなら「代謝の異常」ということになる。もうすこし噛み砕くと、食事によって取り入れた糖分(ブドウ糖)を体内で分泌したインスリンでは消費しきれなくて余った分が血液にあふれてしまう病気、ということになるのだろうか。もっとも知られている症状としては尿に糖が混じることだが、それは症状のひとつであって病気そのものを指すわけではない。これは以前から提唱しているのだが、糖尿病(本来的には糖尿症)は「慢性高血糖病」などに名称を変更してもらいたいものだ。糖尿病はラテン語の訳文だったはず(古代ローマ時代から尿が甘くなって身体がだるくなる症状は知られていた)。
 ブドウ糖が血液にあふれた状態、つまり高血糖状態になると、体内では血管の劣化が進むことになり、いわゆる合併症と言われる別の重篤な病気を発症させる要因となってしまう。これが糖尿病の危険性である。おもな合併症としては、失明、腎臓機能の低下、末梢神経の障害など。脳梗塞・脳卒中・心筋梗塞(いずれも血管の疾患)のリスクも高まると言われている。
 糖尿病には1型と2型があって、ぼくの場合は肥満を原因とした2型糖尿病である。膵臓はちゃんとインスリンを分泌しているのだが、それ以上に(ブドウ糖を代謝できる量を超えて)ごはんを毎日腹いっぱい食べていたので、体内のインスリンでは追いつかなくなってしまって糖尿病を発症したわけである。だから前回の入院までは、完璧な食事制限による体重減少によって、およそ2週間ほどで血糖値が正常の範囲に戻っていた。
 ただ、今回は病状が進んでいるようだ。検査結果を見るまではわからないが、膵臓の機能が格段に落ちてしまっているのではないかと思う。今年はふだんよりも仕事量が多くて、リフレッシュ(生活を仕切り直す)するタイミングをつくれないままに、ストレスフルな毎日を過ごしていた。だんだんと食事量は増えていき、運動量は減ってしまっていた。毎月の検査結果も、ここ半年は坂道を転げ落ちる岩のような勢いで悪化した。糖尿病の自覚症状も出てきていた。さらには、なんと酒があまり呑めなくなってきた。とにかく、調子が悪かった。10月には年末の入院を決めていたが、それまでは自分のカラダを省みる余裕をつくることができなかった。いつもの年よりも多く稼いだと思うが、その分だけカラダを壊してしまっては意味がないことだ。

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にじみ出た血液を測定器にひたすと数秒で血糖値が表示される

 ということで、ここからようやく入院日誌に。

 6時10分起床。昨夜は23時〜2時半、3時〜今朝まで眠ることができた。どうやら痛みがあまり出ない姿勢を見つけられたようだ。依然として首や肩は張っているし、角度によっては鈍痛から激痛へと変わる。

 便秘気味。体重測定102.6kg(前日と同じ)。くやしいけど仕方がない。明日に期待しよう。
 6時40分、血糖測定。211。すこし下がってきたのか。

 7時45分、来た来た朝食。

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◆ごはん195g(半分残す)、味噌汁、ツナおろし、アスパラと豚肉の炒めもの、冬瓜のあんかけ煮、ふりかけ。4.5単位360kcal。

 朝食のごはんは今日から半分に残すことにする。午前中は病室で安静にしているので、インスリン注射による低血糖症状が出るおそれもないだろう。カロリーもそうだが、ごはんの糖質が気になる。

 9時、血圧測定。108/66。低っ。
 午前中は請求書を書いたり、仕事のメールを何本か送ったり。

 12時、血糖値測定。277。
 12時25分、昼食到来。

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◆ごはん195g、麻婆豆腐、中華スープ、ナムル、牛乳。

 小躍りする。麻婆豆腐!ごはんにかけました。ああ、唐辛子を忍ばせておくべきだったか。いつも食べている麻婆豆腐の1万分の1くらいの辛さだ。たぶん花椒も入ってないだろう。それでもこれは麻婆豆腐だ。こんなに嬉しいことはない(アムロ レイの声で)。
 午後は活動的になるので、ごはんは残さないことにする(前回の入院まではインスリン注射がなかったので三食ともごはんを半分残していた)。

 13時10分、外出。今日もバスで自宅まで向かう。
 「五稜郭(シダックス前)」バス停から、たぶん違うな、と思いつつ、最初に来たバスに逡巡しつつ乗ってしまう。案の定、ここで曲がるなよ、という道でしっかり右折。ここで左折してくれ、という交差点で右折。ぐるーっと遠回りして、それでも自宅までいちばん近いバス停「本通小学校裏」で下車。そこから歩いて15分かかった。正しいバスに乗るよりも2倍くらいの乗車時間があったが、料金は210円で同じだった。おそらく3系統とか31系統のバスだったと思う。経由地に「本通農協」という見慣れた文字があったので乗ってしまった。そう言えば、子どものころに実家から駅前・五稜郭方面へ行く市営バスは3とか3-1だったな。美原方面に行くのは函館バスで9とか90だった。
 いまは小さめのバスが多く走っていて、やはりあきらかに通路が狭い。通路に立つと邪魔になりそうで乗車口に立っていたが、それはそれで邪魔くさかったと思う。優先席が多くていくつか空いていたが、なんとなく座るのをためらっているうちにバスを降車した。

 けっきょく帰宅したのが14時。今日は家人が居て、お風呂の用意をしてもらっていたので、さっそく入浴。雑誌を読みながら30分ほど湯につかる。その後、かるく背中を押したり揉んだり踏んだりしてもらって、ありがたい心もちのまま昼寝。

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ピーさんとも遊んだ。

 16時、自宅発。戻りもバスにしようか迷っていたが、外に出たらキリッとした空気が寒いけれど気持ちが良かったので歩くことに。五稜郭公園の外周を経由して病院へ。30分ちょっとの散歩。最後は鼻水がずるずるだった。16時40分、院内のローソンに寄ってから病室へ戻る。

 17時、血糖測定269。今日はあまり下がらなかった。食事内容との兼ね合いもあるので、そこを探っていくのがこれからの愉しみになるかもしれない。
 17時50分、夕食配膳。

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◆ごはん195g、味噌汁(白菜)、大豆の五目煮、サバの西京焼き。7.5単位600kcal。

 迷ったが空腹には勝てず完食。明日の朝食まで13時間以上あるので、あまりムリはしないようにする。まだ入院して5日目なのだ。

 21時、血糖値測定。332。
 就寝前にインスリン注射(持効型溶解「トレシーバ」8単位)。
 消灯に合わせて布団に入った。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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